巻頭記事
母乳育児における母子一体性の原理—桶谷式乳房治療手技の含むもの
桶谷 そとみ
pp.6-13
発行日 1978年1月25日
Published Date 1978/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205317
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.はじめに
先に筆者は,桶谷式乳房治療手技(以下,手技と記す)の概要について発表した。 しかし,その手技の完成をみる約40年の間に取り組み,体験し得た,母乳育児における母子一体性に関する原理的な面については,未だ十分に述べていない。このことは,母子保健,乳房治療,生物としてのヒト──文化を創り社会生活をなし得,更に人格の尊厳を堅持しうる生物唯一の人類としての自由の恵みをもち,育つ人間として,見逃がし得ない大切なものを含むと確認したい気がするので,それをとらえつつ記してみたい。
人間,人体という小宇宙には無限に近い学問,真理が秘められており,今日までに医学を初め,あらゆる科学の分野でこれらは究められ,解明されてきた。しかし未開拓な部分が未だ残されているのではなかろうか。たゆまない研究努力と相俟って,人類,人間,小宇宙は,その完成へと成長・充実の道を辿るものなのであろう。
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.