私と読書
結婚という名の自動車をいかに運転するか—「講座現代と健康:7/結婚と健康」を読んで
加藤 欣子
1
1東京都江東区深川保健所
pp.756-757
発行日 1976年12月25日
Published Date 1976/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205148
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人間の歴史の上で,およそ今日ほど,あらゆる分野の科学が人間の健康と無関係でないことを私たちに示した時代はないであろう。このような時代背景の中では,医学もまた新しい視点で再構築されねばならない。講座「現代と健康」全10巻は,人間の健康を様々の分野から新しくとらえなおそうと試みたものであり,この「結婚と健康」もその1巻である。
結婚生活を,1組の男女が一生かかって1台の自動車を運転する姿にたとえてみると,まず婚約時代,若い男女は自分たちの身分や経済状態を考え合わせながら,自分たちにふさわしい1台の新車を選ぶ。結婚と同時に新車の運転が始まる。2人はその新車のメカニズムについて,販売員の説明や,その自動車の説明書あるいは本屋で求めた参考書などを読んで,一応は頭の中につめこんでいる。しかし,その自動車のくせや弱点などについてはまだよくのみこめていない。そのためにハンドルさばきが悪くて電柱に車体をこすったり,ブレーキのかけ方が悪く助手席に乗っているパートナーに衝撃を与えてしまったりする。
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