看護婦さんへの手紙
ナースと結婚
前田 純敬
pp.9
発行日 1964年8月1日
Published Date 1964/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912318
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ナースのスト騒ぎがあったのは,ちょうど私の入院生活中だった。胸部手術のため,かなり長く都心のある綜合病院に入っていた。胸部手術の前後の,あの不安と心の中で,その騒ぎに接することになったわけだが,私は患者のひとりとして,ためらうことなく,そのストを支持したい気持だった。それほどナースの仕事に対しては感謝と尊敬の念を持つことができた私は幸せだったと思っている。しかし,入院中にナースのストに相遇して,私は,ナースという職業,ナースの地位などについて深い関心を持たされた。その感謝の気持をいま言葉であらわそうとすると,やや唐突ないい方かも知れないが,「ナースが早く結婚できるようになってほしい」という一言につきる。
こんにち,だれもナースの結婚一般に反対はしないだろう。現に幸せな結婚をしているナースは大勢いるにちがいない。しかし,私の知るかぎり,多くのナースは職場にいるかぎり,しらずしらず婚期を逸している。そのためほかの職を選んで,ナースをやめていく人もいる。正ナースになるには勉強にかなりの年期がかかるのに,転職したり,結婚して家庭に入ってしまう人は,せっかく今までに覚えた技術や資格が役立たぬことになってしまう。
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