特集 産科外来を問い直す
外来助産婦業務と3つの改善策
平田 正子
1
1東京医科大学病院産科外来
pp.388-389
発行日 1974年8月25日
Published Date 1974/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204730
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外来における助産婦の必要性
産科病棟から初めて外来に移って1年を経過したが,病棟にいて感じていた問題がどうして起こるのか理解できるようになった。現状の中での外来助産婦の業務は,その殆んどが医師の診療の介助および器具・器械の準備と後始末,それにいわゆる掃除に費やされており,外来だからこそ患者(妊婦)が納得できるまで話しあわなければならない保健指導の部分が,省略されてしまっているのである。また医師との関係や,人員不足の点で指導するチャンスがつくりにくく,例えば指導できたとしても,隅でコソコソという程度では受ける側の患者(妊婦)も落着いて聞いていられないだろうし,こちらの側にすれば,あとがつかえて,次の患者に迷惑をかけるということになり,ついつい,いけないと知りつつしゃべらずに終わってしまっているのが現状である。
こんな中で,個人的な努力によって多少改善されたとしても,その‘恩恵’を受けられるのは患者(妊婦)の極くわずかである。その努力は診療介助や器具の準備のように,その器械がなければ診察できないというものではないから,徹底してやれない弱点をもっている。しかし,そのような弱点をもちながらも実は,現代の核家族化と個人主義の中では,外来でのその必要性がよりいっそう問われようというものである。
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