母と子の精神衛生
精神分裂病患者の家庭背景
小坂 英世
1
1東京鄙精神障害者を守る会
pp.68-69
発行日 1969年4月1日
Published Date 1969/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203738
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精神分裂病という精神病がある.未だに原因不明であり,青少年期という人生の重要時期に発病し,有病率が高く(人口1,000対3ないし7といわれる),再発が多く慢性化しやすいので,精神衛生関係者としてはもっとも関心をもたなくてはならない病気である.助産婦にとっても,産褥期にしばしば初発または再発することがあるので大いに関係のある病気である.
しかしここでは,精神分裂病そのものについての説明はぬきにして,この病気の原因論をめぐる話題を紹介してみたい.というのは,原因論を承知した上で,助産婦が人間の(精神分裂病患者の)出生時から幼児期にいたる家庭環境を,想起したりあるいは観察したりしてくれると,精神分裂病の原因追求においても,人格形成の研究においても,新知見が加えられることになるだろうからである.
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