婦人の目
新しい母性愛
山主 敏子
pp.56
発行日 1969年3月1日
Published Date 1969/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203722
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わが家ではちょうど朝の食卓の時間にあたるNHKの"こんにちは奥さん"という番組で,"主婦の生きがい"というテーマについて奥さんたちが話し合っているのをきいた.出席した奥さんたちは,いずれも仕事を持ち家庭を持ってりっぱに両立させている人たちばかりである.この人たちの生きがいは,仕事と答えた人が大部分,現在の自分の仕事によって多少なりとも社会に貢献していると思うことがうれしいと,まことに好ましい考え方であった.アナ氏に,仕事と夫とどちらがだいじかとつめよられて,さあと,モジモジ答えに窮していた若い奥さんも,結局仕事のほうがだいじと答えた.これは要するに,もし夫から仕事をやめなければ離婚するぞとおどかされたら,離婚を選ぶということだろう.だがそもそも仕事と夫とは次元のちがう問題なのだから,これをどっちをとるなどときかれては,困るのが当然であろう.
まだ生きがいを感じる段階ではない.子どものための保育施設をどうするか,家事労働をどのように簡易化するかなど,生きがいのある生活を,みんなが送れるようにするための基礎づくりに,私たちは一生けんめいなのです,と答えた人もいて,それぞれの職場や地域で彼女たちの活躍ぶりも想像されてうれしかった.だれもがお母さんだというのに,その表情は晴れやかで若々しかった.
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