付録
カレンダー解説—「勉強」L'ETUDE
pp.47
発行日 1968年10月1日
Published Date 1968/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203640
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18世紀の絵画には子どもを描いた秀作が多い.このフラゴナールの作品「勉強」は,茶褐色を基調とし,正面切って描写されていて,同じフラゴナールの「本をよむ少女」とならんで優劣のつけがたい少女像である,フラゴナールの製作の早さは有名で,この作品中にも衣裳の部分に発揮されている.
フラゴナールは18世紀の生んだ,まさに時代の子であり,爛熟した文化の申し子であった.陽気で気まぐれで--情感に満ちた作品,悪ふざけに似た大胆さのある作品--と,どれがほんとうのフラゴナールか,と問いたくなるほどに,彼はその感覚のおもむくままに風俗を描きまくったのである.フラゴナールの前には,政治も宗教も道徳もない.あるのは洗練された芸術だけである.それ故,彼の晩年はフランス革命のうずの中で悲惨であった.
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