母もわたしも助産婦さん
仕事で喧嘩する相手が欲しい
桂川 イヨ
pp.22-23
発行日 1967年1月1日
Published Date 1967/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203324
- 有料閲覧
- 文献概要
<2>
現在私たちの住んでいる所は,青梅市管轄ではあるが対象とする妊婦さんは,八王子市,立川市,五日市町,青梅市と四区城の保健所の管轄を受けている人々である.最近,近くに団地ができ,都営住宅も増設されて,人口は一段と増加した.それらほとんどの人々が,文化的に前向きに生活を送っている.しかしまだ河を越えて行く山岳地帯には,農業に従事する人々も多い,そして現在の前向きな生活を多少取り入れながらも,昔からの生活をしているのである.今日では,交通も発達し,車でどこへでも行くことができる.しかし20年前には,すべて自分の足で歩き,自転車を踏み,自宅分娩に通って行ったのである.
昔から母の世話になっている産家先で,自分の子供を嫁をと紹介してきて下さる方が多い.かって母が与えた喜びを,決して忘れることなく,はるばる遠い所から来て下さるのである.助産婦として最大の喜びの一つであろう.母の留守に自分が変わって診察しても,付き添いの親たちと昔の話に花が咲く.そのたびにああこの人々のために自分も頑張らなければ——と思うのである.
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.