インターホン
開業助産婦に描く夢—小説「あさやけ」を読んで,他
桑原 麗子
1
1東大助産婦学校
pp.44-45
発行日 1964年3月1日
Published Date 1964/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202719
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昨年の助産婦雑誌12月号で「あさやけ」は終わった.私は助産婦雑誌の中で,今までこの「あさやけ」のように,毎月楽しみにして読んだものはない.助産婦雑誌が来ると,まっ先に開くのは「あさやけ」の頁であり,その後気が向いたら,特集講座あるいは研究を読むというような,助産婦学生としては,はなはだ向学心のない頼りないものであった.この小説はよく助産婦の気持およびその立場などがよく出ていた.これを読むと,たとえ私が,7例の分娩介助しか経験したことのない未熟な助産婦学生だとしても,また時代,年齢の差はあっても,同じ職業につくものとしての,喜び,悩みがひしひしと胸に響いて来るのであった.
「あさやけ」が終わった後で私はたまたま「あさやけ」のモデルと目される助産婦さんのところで助産所実習をする機会を得,「あさやけ」に関することおよび人生経験など話を聞き,また実際に助産所を目で見ているうちに,今まで考えていた開業助産婦また開業そのものについての考えを改めざるを得ないようになって来た.
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