インターホン
よい仕事をしたい,他
東 和子
1
1国立東京第一病院産科
pp.46-47
発行日 1963年10月1日
Published Date 1963/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202632
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「まあしばらく,今どこにおつとめですか」「今産科勤務です」「まあそれじゃお忙しいんですね」つまり産科は忙しいのがあたり前,「産科」とは「忙しい」の代名詞になっているかのようです.日頃ああもしたいこうもしたいと理想は果てしなく描いてもその前にいつも立ちふさがれてしまうもの,それは人員の問題という厚い壁です.そしていつも満たされないきれいな空気を思う存分肺の奥深くまで吸込めないといったような仕事的良心とでも申しましょうかそれを満足せしめ得ない焦燥感に悩まされています.
妊娠中の保健指導実施上の諸問題産褥中の看護上の問題点,さては,母親対医師間に起こるちょっとした摩擦等々をつきつめてみると,やはりこれは主にあまりにも多忙に過ぎる結果とみがちです.しかしここでちょっと考えてみる時ただ「忙しいから」ということだけでは片づけられない,それが理由にならない,なぜならその一つ一つが私たちに与えられた大事な大事な仕事なのですから.それらの仕事を除いてしまったら私たちの手に何が残りましょう.多忙のうずに巻き込まれて頭にのぼってしまってはならない.仕事にのまれないよう,こちらからのんでかかる心構えが必要なのではないか.そしてさらに私たちは大変だ大変だといいながら,なおこの仕事から去ることができない.
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