グラビヤ
都立築地産院
名取 光博
1
,
滝田 幸雄
1都立築地産院
pp.2-8
発行日 1963年2月1日
Published Date 1963/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202479
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今日までの産院は、綜合病院などから比較すると、ちょうど産院や産科でみられる母児の比較の児にあたるような,二次的な取り扱い方をされてきた。建物や設備の不完全さを,近代医学の進歩に遅れまいとする勤務者の血と涙で支えられていた。日本の,大きくは世界の次代を背負って立つ子供達の誕生の場としては,あまりに環境が悪かった。その子供達と同じように,予算やその他の制約の下でやっと完成したのがこの産院である。産院で占める新生児,未熟児の比重が,この建物では相当改められている。産院や産科での児の医療面や看護面での進歩が期待されるが,やがて胎児を中心とするような産科学,予防産科学が産科の主な領域を占めるような期代がくるならば,今度改築されたこの築地産院の建物も,最低線のものとなるであろう。そのような日が一日もはやくおとずれるよう夢見ながら,今後設備と人の面で大いに充実し,母児の前途を祝福するにふさわしい産院に育てていきたい。
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