現代のカルテ
ゆれ動く世界と日本
野口 肇
pp.40
発行日 1963年1月1日
Published Date 1963/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202474
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1.キューバ問題と軍事基地の危険性
1962年(昭和37年)がすぎ去りました.大きくみるとすぎた1年,このままだと戦争に,それも核兵器をつかった大戦争になるかとギョッとした場面がいくつかありました.いちばん近くはキューバ危機です.これは10月23日,突如アメリカがキューバ向けの兵器その他を輸送するソ連など貨物船を「臨検」し,停船に応じなければ撃沈するとつよい声明をだしたのです.そのころ実さいに8雙の社会主義国の船がキューバにむかって航行中だったし,よくある大海戦映画そこのけの劇的な局面でした.そして激突の寸前,ソ連など援助物資をつんだ船団は舵をかえて封鎖水域からさけ,ついでソ連がキューバに渡していた核兵器と基地をとり去ることになったのです.
これについてアメリカ政府筋や報道は,強硬なセトギワ政策がさしものソ連の態度を後退させたといい,一方社会主義圏ではソ連の決定は生ぬるく,譲歩だという声もあります
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