講座
嬰児の視機能について
仁田 正雄
1
1群馬大学眼科
pp.52
発行日 1962年10月1日
Published Date 1962/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202425
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視機能のうち,光覚,視力,色覚,両眼視等についてふれてみたいと思います.
光覚は最も原始的な視機能で眼球のない下等動物でも認められます.個体発生は系統発生ときわめて似ていますから,嬰児においても一番最初に現われてくる視覚は光覚であろうと考えられますが詳しいことは全くわかつておりません.光覚検査では光の点滅がわかるか否かではなくて,明かるさに馴れた眼で暗黒の中にあるどの程度の弱い光がわかるかを時間を追つて調べるのですが,この検査は嬰児ではできません.光覚の悪いものを夜盲(とりめ)といいますが,先天的に夜盲のある例えば網膜色素変性症においても幼少の時には夜盲に気付きません.誰でも自分と同じだろうと思つています.
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