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母性衛生講習会に出席して
河津 和子
1
1福岡赤十字病院
pp.38-39
発行日 1962年1月1日
Published Date 1962/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202261
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この講習会へ出席のため,上京するさいに,私の産科の婦長さんが,餞別の言葉としてこうおつしやつた.「元気で行つてらつしやい.本の上でできるこまかい勉強はまた,帰つてからもできます.講習会の大事なことは,一人でも多くの人にあつて,一人でも多くの人の意見を聞くことです.講習会に出席して帰つてくると,勤務に今までと違つた斬新な気持で熱意をもち,仕事に打ち込もうとする意欲がおきること,それが大切なのです」といわれた.私も今度の「母性衛生講習会」に,出席が許可された時は,日頃よりの念願であつただけに,より多くの収穫をおさめたいと,さつそく欲ばつたプランを,あれこれと頭にえがきはじめた.私の収穫というのは,現在の病院助産婦のあり方,また産科病棟管理に累積した問題に,少しでも,何らかの解決のヒントを得るために,他の病院の実情を知ろう.そして教えられるところの一つでも多く見聞したいと願うことであつた.
講習会には,それぞれの特色を持つた病院から,それぞれの個性をもつた講習生が,全国から52名集まつた.8月14日から9月13目まで,東京もまさに猛暑の連日であり,日赤短大新講堂で流れる汗をふき,藪蚊襲撃を受けながらの講習はかなりつらい時もあつたが,地方から集まつた講習生は,責任を担つてきているだけに,緊張して講習科目の吸収に懸命にノートをとつていた.
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