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母性衛生講習会に出席して
草竹 節代
1
1聖バルナバ病院
pp.34-35
発行日 1962年1月1日
Published Date 1962/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202260
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汗と埃りにまみれてすごした東京での1カ月は,はるかな想い出のような気がしてならない.通勤電車の人ごみと不なれ故のまごつき,そして久しぶりにした外食生活.病院から数分の徒歩ですむ寄宿舎に長年すみつき,病院外の人たちとの交流や研究会など,ほとんどその機会を得なかつた私が,"出張"という名目で上京し,全国の助産婦,保健婦,看護婦の方々とともに考え論じあつた1日1日は,忘れられない人生の想い出でもあると思う.
まず第一声は"暑かつた"ということである.1カ月の講習の末に,何なりかのものを持ち帰つたと信ずるにはあまりにも平凡であり,かつ無責任な感想第一項であるかもしれない.しかし,ともかく暑かつたのである.大阪のそれ以上に—.何とむし暑くけだるい疲労につきまとわれた毎日であつたことか.それにあわせて講習所,いいかえれば教室たるや最悪の条件をそなえていたのではあるまいか.私のいいたいのは,この受講条件の不備が,私たちの熱意や研究心を,大いに阻害したのではないかという点である.初めから文句をいいすぎたかもしれない.これでは感想でなく苦情であると,厚生省や関係者の方々におしかりを受けぬとも限らないが,私の苦情はこれ一つでおしまいであるし,お許し願いたいと思うしだいである.
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