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蟻のごとくに
N
pp.17
発行日 1961年9月1日
Published Date 1961/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202190
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わが家の庭は一面の芝生である.一日の労働で疲れた目に緑は美しく映える.
ある夏の日の午後,私は芝生へ降り立つた.緑の園はしかし蟻の楽園でもあつた.無数の働き蟻が,あるいは餌を求め,あるいは巣の中から砂を運び出しては右往左往している.たつた一匹の女王蟻のために,黙々と働く蟻の姿は,無目的,無感動的であるが故にかえつて私の感動を誘つた.
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