受胎調節指導の昨今
今後受胎調節のありかた
大谷 シヨウ
1
1日本助産婦会
pp.44-45
発行日 1961年6月1日
Published Date 1961/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202143
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妊娠すれば先ず助産婦にかかり,妊娠中の保健指導から出産に至るまで,よほど異常を認めない限りは医師の診察も受けず入院分娩をする人も極く稀で,すべて出産は家庭においてした戦前の事を考えますと,現代と比較して今昔の感に打たれます.妊娠から分娩取扱,その後の母児の保健指導はすべて助産婦によつて行われていました.出産取扱によつて産婦と助産婦とは密接な関係を持ち,ほとんど一家族同様に親しさを持ち,時には夫にも話せない様な事でも全部助産婦には打ちあけられる程の信頼感を得ていたのであります.そして一家中の病気の相談は勿論,家屋内のいざこざ,結婚の世話など一寸した細かい事などその家の顧問格として一家中の信頼を一つに集め働いていたのでありますが,戦後アメリカの医学が入つて来て家庭分娩もいつしか病院分娩と変つて行きました.しかし当時アメリカ軍司令部公衆衛生部にいた助産婦係マジソン女史が日本の助産婦に対して理解が深く,日本助産婦会長であつた市川いし女史を随えて日本全国津々浦々の助産婦に母親学級の教育を施し,この母親学級の仕事は将来助産婦の仕事であるといつて残して帰国された事は全国の助産婦達のよく周知の事と思います.
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