特集 家族計画
避妊薬による受胎調節
六弥太 忠行
1
,
相田 きさ子
1
1群馬県渋川保健所
pp.61-65
発行日 1957年4月15日
Published Date 1957/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201819
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Ⅰ.緒言
最近,我が国に於ては,人工妊娠中絶の激増に対して,母性保護の為に,又年々切迫して来る労働人口問題の上から,或いは家庭経済を目標とする文化的な家族計画実施の為に,受胎調節の必要が強調されている。
偖て避妊手段としては,合理的な受精阻止法としてペツサリーがとりあげられが,これは婦人科的にサイズを合わせなくてはならぬのと,住宅事情等の為に日本ではまだ大衆向きとするには難点がある。サイズを考慮しなくとも良いスポンジ,タンポン類は軽度の異物感に腟短縮の為の不快感あり,それに取出しの紐が苦になるといわれる。昔から非常に普及している男子側のコンドームは差し当り,男性の理解が必要であり,又,性感覚の受容器は亀頭冠にあるパチニ小体であると推定されているが1),コンドームを装着した場合にはゴム越しの接触の為に男性の性感を減殺し,女性側には精液の吸収がない為に,種々な肉体的,精神的障碍ありともいわれている。従つて,避妊器具の種類は数あるも,夫々長所及び短所があつて取捨選択を必要とせられるが,上記の欠点を補足し且つ国民大衆に広く実施させる為に如何なる対象にも聽いたその日から自分で直ぐ使える最簡便な避妊薬品が受胎調節普及過渡期の第一段階として,一応考えられるので,私は,誰でも安易に使える避妊薬単独使用の臨床実験を実施し,その結果些か知見が得られたので,ここに報告する。
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