口絵
東洋一を誇る産科—新設された札幌医大附属病院産科
pp.2-6
発行日 1959年7月1日
Published Date 1959/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201705
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当産科は,札幌医大産婦人科明石教授,北海道建築部,又助産婦の意見も大いに取入れられ設計され,今年一月末完成した.母と子の保健衛生,医師と助産婦が最も働き易い様に意を配つて造られた.建物面積は千百六平方米,外来,分娩室,新生児室,病棟に分れている,分娩室は恰も手術室に準ずべき室であるから,内部の清潔度には特に留意し,内部用仕上ペイントの撰択に於いても,蠅,その他虫類の浸入による細菌の伝播を防ぐ為,DDT台有のアルキツト樹脂系油性ペイントが用いられたが,本塗料を素地のモルタル面及びプラスター面,スレート面に直接塗装する時には素地に含有するアルカリ分による鹸化が生じ易いので,アルカリ分に対し比較的安定な塩化ビニール樹脂系ペイントを以て,下地処置の上,3回に亘つて塗装された.本塗料を施工した室内には,虫類自から侵入を嫌い,又侵入接触せる場合,15〜30秒にて死滅すると言われている.分娩室,新生児室は助産婦や看護婦の労働過重をさけるために助産婦詰所のすぐ側に配置,特に予備室は詰所から観察出来る様にしてある.助産婦詰所をはさんで,東側が予備室,西側が新生児室,夜勤の便利をはかり,新生児室を全部見渡せる透明ガラスの広い窓を設けている.又観察は終日行われるから,垂直なガラスより透視が行われることは,その時終の室内光の状態で自己及び周辺が反映したり或はグレア(眩輝)が起り,目が疲れ易い.これを防ぐ為,特に若干の傾斜をつけ中が何時でも良く見える様にしてある.
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