特集 家族計画
企業体における受胎調節の諸問題
松本 チヨ
1
1日立造船因島工場新生活運動
pp.48-53
発行日 1959年5月1日
Published Date 1959/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201684
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1.職場の安全と幸福な家庭生活
日立造船因島工場で,従業員家族を対象とした新生活運動を具体的にとりあげ,モデル地域として社宅地区700世帯に指導を展開したのが,昭和31年1月からでした.引き続き32年4月より社宅地区外2,500世帯につき実施し,従業員,家庭主婦および一般市民より喜ばれつつこの運動が進められております.運動の動機としては,(1)7年前よりすすめられている職場中心の安全運動を家庭にまで拡大し,明るい家庭から主人が安心して職場で働ける体制をきずく.(2)健全な家庭生活から,秩序正しい社会生活へ発展し,明るい人間関係をつくる.の2つからで,家庭生活の不安定から職場への影響は,非常に重大な要素があることが見受けられます.全国的には,年間多くの労働災害が発生しており,その7割までが作業者自身の不安や疲労のための不注意から生じたものであると言われ,このことはつきつめれば主として家庭生活の不安定から原因しているのではないでしようか……たとえば(1)家族の病気,本人の身体不調(2)夜遊びや,子供が多く睡眠不足であつた(3)家庭秩序が乱れ,家族の愛情がかけていた(4)生活に計画性がなく,浪費が多くて経済的に常に不安定であつた(5)家族間の調和が悪く,心配ごとの絶え間がなかった
こうした,家庭におけるできごとが職場のなかにもちこまれ,散漫な注意力となつて,災害の原因になりやすい.
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