知識
M式重複周期受胎早見表
毛利 隆彰
pp.54-55
発行日 1958年5月1日
Published Date 1958/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201476
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敗戦後の日本の最大の悩みの一つは人口問題であります.人口と経済力とのバランスがとれている時に社会の幸福が考えられるのと同様に家庭の幸福を確保する為にも家庭経済とバランスのとれた家族計画が必要と考えられます.そのためには安全で,確実で,しかもなるべく簡易な受胎調節法が要求される次第です.
戦後の我が国の社会には人工妊娠中絶或は不妊手術等に依つて産児を調節する人々が増加していますが,我々産婦人科医の立場から考えるならば中絶手術は往々母体に危険を招く事があり,特に度重なる中絶手術は将来に禍痕を遺すことも少くないので,もつと合理的な受胎調節法の普及することが最も理想的であると思います.すでにコンドームに依る予防法,ペツサリーによる方法,ゼリ注入法等がかなり広く行われていますが,此等を実施するに当つて受胎期(妊娠し易い時期,即ち卵巣から排卵のある時期)の予測を荻野学説によつて測定して,上記の方法と併用すれば一層良いと考えます.ところがここで問題になるのは,受胎期を予測することが,誰にもたやすく出来るかどうかという点です.どうも一般の婦人には,これが大そうむつかしいらしく,屡々間違つた計算をして,そうして荻野学説はあてにならないなどと言う方もあるようです.殊に月経周期がかなり変動する婦人では,受胎期の予測がかなりめんどうになつて誤りを起し易いと思われます.
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