講座
助産婦のための育児相談室—病児の観察
木下 正一
pp.35-36
発行日 1956年9月1日
Published Date 1956/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201120
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親の話をどう聞くか
病気の子供は,まあ殆んど自分独りで診察をうけにきたり,相談をしに来たりしない.親か,そのほか誰かが連れてくる.連れて来た人は,大ていの場合,心配のあまり,色々と容態や,経過を唯々一生懸命に訴える.それを,うまく順序よく,要領よく聞きとつて,こちらで必要な点をうまく把握しなければならない.
先方が夢中になって喋り立てるのを,いきなりおさえきれない場合には,まあ一応喋らせながら,要点だけを記憶していて,何かの折を見逃さず,話を打ち切らす.例えば,「まあ,ところでこの子供さんはおいくつなの?そうすると昭和〜年生れ?」というようなことで,先方の話は勢を止める.それから「いつたい何時から起つてきたことなのか,どんな風に,どんなことが」という風に次第に誘導して,こちらの聞きたい要点を求めて行く.その経過中に施した応急の手当などについても訊ねておくのがよい.こういう問診の「コツ」というものは,どうしても経験と工夫とを積まなければ上手にはなれない.
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