講座
妊婦診察上の注意—(その5)
木下 正一
pp.20-23
発行日 1955年1月1日
Published Date 1955/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200769
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
妊娠初期の診察について(つづき)
結核・梅毒・心臓疾患・腎疾患・バセドウ氏病などは,妊娠初期にこれを発見し愼重に予後を考えてみる必要がある.すなわちこれらの疾患と妊娠・分娩・育児などが相互に影響し合う関係をよく考えて,若し必要ありと思われる場合には妊娠をなるべく早期に中絶するがよいからである.
結核は,妊娠の体格・栄養などから判断して,そんな心配ないと思われるような婦人にも思いがけない病状を発見する場合もあるものである.故に総ての妊婦に対して結核検診を励行するということを是非守りたいと思う.梅毒については,妊婦が血液検査を拒む場含もある.「私の主人は品行方正で,その樣な心配は絶対にありません」などと強く拒む場合もあると思う.しかし,こんな場合にも納得の行くように説明をして,例外なく血液検査を試みるべきであると思う.
Copyright © 1955, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.