講座
第三型の双胎—一卵性二精子双胎の話
大島 正雄
1
1母性科学研究所
pp.21-23
発行日 1954年12月1日
Published Date 1954/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200747
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1.今迄の双胎
双胎に一卵性,二卵性の区別のあることは既に成書にもある通りで,周知のことである.そして通常,回じ性で瓜二つに似ておれば一卵性,性が違えば頭から二卵性という風に考えている.尤も産科書には両者の区別として卵膜の枚数,胎盤の分離等の所見が記載されてはあるが.実際の助産に当る者にとつては,単胎か双胎の区別こそ大切であるが,一卵性,二卵性の問題はそれ程重要ではない.併し学問上の立場から,双胎を一卵性,二卵性の二つと割り切つてよいかというと,最近の調査研究に依ると,この二つだけではどうしても説明のつき難い場合のかなりあることが分つてきた.
又一卵性,二卵性の区別も,卵膜や胎盤の所見がいつの場合でも教科書にある樣なはつきりした場合とは限らず,この方法だけでは不確実ということになつている.その上この方法は,後産が処分されてからでは役に立たないので,分娩後,時日を経て両者の区別をしようと思うときは,相似法という方法に依らねばならない.これは血液型,皮膚のきめ,頭髪の渦巻,その他標準となるべき項目を決めておいて比較するのであるが,この方法でカナダの五つ児は一卵性五胎であることが分つた.これは最初の卵は先ず一卵性双胎となり,一方はそれから一卵性三胎となり,一方は再び一卵性双胎となつたので,誰がそのいずれに属しているかも分つている.
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