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葉書解答を読んで
木下 正一
pp.32-34
発行日 1953年9月1日
Published Date 1953/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200432
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30篇を超えた多数の回答を1つ1つ読んで,今やつと読みおえた.回答者の皆さん方は,ただ忙しいというだけでない,時をきらわずに仕事が舞いこんでくる特別な忙しさの中から,きわめて僅かの飴暇を盜んで,この解答文を書かれたのだと思うと,回答者の熱心と誠実とに対して頭が下る.短い文章を書くことは長い文章を書くよりも遙かにむつかしい場合があるものだ.この回答文など,正にその1つであつたろうと思う.いろいろ書きたいこと,書くべきことが沢山ある中から,よく考えて取捨選択する.それを順序よく,簡潔に明瞭に書くという仕事は,ただ思いつくままを,長々と書き綴るよりもむしろ努力のいることだつたろうと想う.1つの問題について,人の前に意見を陳べてみたり,まとまつだ文章を書いてみるということは,自分の知識を整頓しかつしつかりと把握するために大そう役立つことである.そういう意味においても,今後ともアンケートに対してつとめて御回答をなさるようおすすめしたいと思う.
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