講座
妊産婦の精神衞生
関根 眞一
1
1国立武蔵療養所
pp.16-18
発行日 1953年1月1日
Published Date 1953/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200246
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近頃精神衛生という言葉が耳目に接することが多くなつたのは喜ばしいことである。既に精神衛生法という法律さえ昭和25年5月1日から施行されているので,精神衛生という言葉は常識的に用いられるにいたつたのである。しかし実際にはいまだ精神衛生についての智識や関心は一般に極めて低調であるので,近代の文化国家としては遺憾である。そこで文化人として人間が生活するにあたつて精神衛生ほど身近に関連性があり,瞬時も軽視出来ない重要な智識であつて,しかも日常生活の大切な心得であることは一般公衆衛生の比ではないのであるが,世人が一向に留意せずに殆んど無関心といつても差支ない状態に放任されているのが今日の現状である。
そこで精神衛生とはどんな意義をもつているかを平易に説明することはなかなか困難ではあるが要するに「精神の健康に関する衛生」と要約することが出来るが,いざ実際面にあたつてはそう簡單なものではないのである。
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