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醫療用消粍品の破損
眞野 米子
pp.52-55
発行日 1952年2月1日
Published Date 1952/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200046
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物を大切にすることは大事なことであります。私共小いさい頃1粒の米も大切にするように兩親から教えられました。随分と細々した器具を始終取り扱う私共にとりまして,物を大切に取り扱う心掛は大事なことゝ考えます。悲しいことに戰後物を大切に取り扱う氣持はだいぶうすれてしまつたのではないでしようか。殊に其れが自分の物でなく公共のものゝ場合一層その感を深く致します。これではいけないと存じます。粗雜な氣持が患者を取り扱う態度の中に紛れ込んではならないと思います。
私は兼ねて私の勤務する診療所の物品の管理を任かされています。勿論大病院の中央材料室ではありませんが,機能はそれにのつとるように致しでいます。物品の補給交換の度に不注意な取り扱いによると思われる。破損品を見るにつけこれではいけないと泌々考えさせられます。以前にはこうも破損しなかつたようにも思われますが1つは戰後物品の質が惡くなつたせいもあるかも知れません。注射器等は隨分注意深く扱つても煮沸中に破損するものが時々あります。しかし「ビーカー」瓶類は手をすべらせたり別の品物をこえて目的のものを取る時に引つくり返して破損したり又つまみのある蓋を机の角に置て轉がし落したりする場合が多いのです。何んとかこうした不注意に依る破損をへらしたいと考えていますが,なかなかよい考えもありません。
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