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はじめに
近年,急性冠症候群(acute coronary syndrome:ACS)患者は経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention:PCI)や内科薬物療法の確立によって生命予後が改善したうえに,入院期間の短縮や早期社会復帰なども実現した.さらに,わが国のACS患者の特徴として,PACIFIC研究(The Prevention of AtherothrombotiC Incidents Following Ischemic Coronary attack)から,欧米と比較して,PCI実施率だけでなく,その成功率や,エビデンスに基づいた治療実践率も高く,短・長期の予後が良好であることが示されている1).しかしながら,心不全入院や生活の質(quality of life:QOL)低下などの問題は残存しており,喫煙や運動・食事などの生活習慣に対する介入に関する課題が残されている.長期予後改善において,心臓リハビリテーションは大きな役割を担っているが,それだけでなく,社会復帰やQOLの改善の観点からも再認識され重要視されている.しかし,心臓リハビリテーションを介入という側面からみると,長期の心血管イベントを減少させ,動脈硬化進展を予防する多くのエビデンスが蓄積されているものの,わが国においてその普及が遅れていることや,その達成率が低いこと,個人差が大きいことが課題として挙げられる2).本稿では,ACSに対する心臓リハビリテーションの心血管イベント抑制のエビデンスや,動脈硬化予防効果を中心に,心臓リハビリテーションの有効性,現状と課題について概説する.
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