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特集 社会的孤立とリハビリテーション
社会的孤立が生活習慣病の発症に与える影響
Impact of social isolation on the development of lifestyle-related diseases
和田 高士
1,2
Takashi WADA
1,2
1日本医療・健康情報研究所
2東京慈恵会医科大学
1Japan Medical & Health Informatics Laboratory
2The Jikei University School of Medicine
キーワード:
生活習慣病
,
孤立
,
主観的健康感
,
健康習慣
Keyword:
生活習慣病
,
孤立
,
主観的健康感
,
健康習慣
pp.619-624
発行日 2023年6月10日
Published Date 2023/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202848
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一無・二少・三多の健康習慣と生活習慣病発症予防
生活習慣病には,運動不足,食生活の乱れ,睡眠不足,強いストレス,物質使用,「社会的孤立」といった共通の危険因子がある1).健康的な生活習慣を促進する効果的な方法に健康標語(スローガン)がある.生活習慣病の発症予防にはどんな健康スローガンが効果的だろうか.生活習慣病という用語のもとは成人病であった.その成人病の発症予防の健康スローガンとして有名なのが,Breslowの7つの健康習慣2)である.その後,日本でも森本は8つの健康習慣3)を,また池田が一無(無煙)・二少(少食,少酒)・三多(多動,多休,多接)の6つの健康習慣4)を提唱した(表1).
ではこの3人が提唱した健康スローガンのどれが最も生活習慣病発症予防に効果的なのかを明らかにする検証を行った.人間ドックを受けた30〜59歳でメタボリックシンドロームを発症していない男性6,765人,女性2,789人について,この3人の提唱する健康習慣,全21種類の実践の有無についてすべてをとりまとめて調査を行った.そしてその後の7年間で生活習慣病の代表ともいえるメタボリックシンドロームの発症率を実践数別に解析した.その結果,池田の6つの習慣は男女とも実践数に比例して段階的にメタボリックシンドローム発症予防の抑制効果があることわかった.その一方で,Breslow,森本の健康スローガンにはそのような顕著な抑制効果は見られなかった5).メタボリックシンドロームには含まれない高尿酸血症についても,3人の健康スローガンを比較すると,池田の6つの健康習慣を多く実践することのみが高尿酸血症発症抑制が明らかにされた6).
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