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本書は,2019年に出版された「はじめてでも簡単! 3Dプリンタで自助具を作ろう」の続編である.前書は,3Dプリンタの概要やその操作法,自分で3Dデータをモデリングするための方法に焦点を当てたものだった.それを補完する本書は,「まずはひとつ3Dプリントして使ってみよう」というコンセプトのもと,多数の自助具サンプルが掲載されたカタログになっている.ページをめくるごとに,カラフルなアイテムの写真が目に飛び込んでくる.既存物に取り付けられたり,実際に手に持たれたりしている写真からは,これらの自助具が本当に暮らしのなかで使われ,日々生き生きとしている事実が伝わってくる.
第2部「暮らしの道具カタログ」に掲載されている自助具の種類はなんと206にのぼる.「食事」「移動」「家事」「整容・更衣」「コミュニケーション」「アクティビティ」「訓練用具」「その他」と分類され,具体的な生活シーンがイメージしやすい.この本のハイライトは,サンプルが気に入れば,QRコードからデータをダウンロードして実際に3Dプリンタで出してみることができる点だ.本書に紹介された方法で,一度セットアップができてしまえば,3Dプリントをはじめるまでに5分もかからない.もちろん,データは事前にすべて筆者らが3Dプリントして検証してある.続く第3部「暮らしの道具活用事例集」は「もの」よりもむしろ当事者起点のアイディアと,課題解決のほうに焦点が当てられている.道具の説明も「片手で紙パックドリンクのふたを開けるための道具」や「ベッド上で自分で寝返りができるようになるための道具」など,目的が具体的だ.製作で考慮した点や,結果として活動や行為がどう変化したかなど,より「人」に着目した記録も残されている.
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