Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
新渡戸稲造の『人生読本』—学生相談のパイオニア
高橋 正雄
1
1筑波大学
pp.84
発行日 2020年1月10日
Published Date 2020/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201860
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昭和9年に発表された新渡戸稲造(1862〜1933)の『人生読本』(『新渡戸稲造全集第10巻』,教文館)の「煩悶は如何にして一掃すべきか」という章では,新渡戸がある学校の校長をしていた時に,精神的な煩悶を抱えた学生たちに対処した体験が語られている.
新渡戸は,煩悶には物質的理由から起るものと精神的理由から起るものがあり,「素人から見れば全然精神的作用のごとく思うものが,その実,直接原因は,生理若しくは物質的のものが少くない」と考える立場から,当時のメンタルな問題を抱えた学生の様子を次のように語っている.「年々数名の学生が煩悶に苦しみ,従って食欲を失い,元気を喪失し,病にかかって休学若しくは退校を止むを得ずせねばならぬ場合に出会した」.
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