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編集後記
川
pp.268
発行日 2016年3月10日
Published Date 2016/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200550
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大流行中のインフルエンザ.確か,子供のころは「流感」(「流行性感冒」の略)と呼んでいたなと思って調べてみたところ,幕末に「インフルエンザ」という言葉は日本に持ち込まれ,「流行性感冒」と訳されたとありました.
岡本綺堂「綺堂むかし語り」の「思ひ出草」の中に「お染風」という項目があります.明治23〜24年にかけてインフルエンザが大流行し,それを人々は「お染風」と呼んだそうです.なぜなら江戸時代に流行したよく似た風邪の名前が「お染」だったから.浄瑠璃,歌舞伎に出てくる「お染・久松」の「お染」が由来で,その心は「お染が久松に惚れたように,すぐ感染する」からじゃないかと推測しています.で,お染が憑りつくのは久松ということで,「久松留守」という札を玄関や軒下に貼って風邪除けとしたらしいです.洒落てますね.
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