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はじめに
関節リウマチ(以下,RA)は,自己免疫の異常により関節炎が寛解と増悪を繰り返し,関節破壊が徐々に進行する疾患である.RAは小児から老人まで発症がみられ,40,50歳代に好発し,男女比は1対4と女性に多く,主婦が中心となる.また,平均寿命の高齢化により70歳以上が増えている.
RAの治療は,基礎療法,薬物療法,外科的手術療法とともにリハビリテーションが包括的に行われることが重要である.RAの根本的な治療はまだないが,抗リウマチ剤や生物学的製剤などの薬物療法や人工関節による機能再建術によりRAの治療の進歩がみられ,平成14年度日本リウマチ学会においては,RAはもう慢性的ではないとして「慢性関節リウマチ」より「関節リウマチ」としている.安静や運動,関節保護法,食事など基礎療法は患者・家族教育として十分行われる必要がある.一方,リハビリテーションについては,2000年リウマチ白書1)によると,「リハビリテーションをしている」は約46%,「リハビリテーションをしていない」は約49%と患者の意識は十分ではなく,リハビリテーションをしていない理由としては,「リハビリテーションについて医師から指導も話もない」が約37%,「日常生活で不便がない」が約29%,「通院が負担」が18%となっている.リハビリテーションに望むこととしては,「家庭でできるリハビリテーションの指導が欲しい」が約39%と最も多く,ついで「リウマチのわかる理学療法士(PT)・作業療法士(OT)が欲しい」が約17%となっている.このようにRAのリハビリテーションは,治療者および患者にまだ十分な位置づけがなされていない.
最近では,RAの治療体系が大きく変化してきており,早期診断基準を用い,早期診断と早期治療が行われるようになってきている.リハビリテーションについては,上記のような理由から早期よりの対応がなされておらず,「できあがった障害」への対応が中心であった.今後は,リハビリテーションの対応も障害の早期発見と早期治療が重要となる2).リハビリテーションの開始にあたっては,炎症活動期の関節の疼痛および腫脹への対応が重要となる.これに対応するシステムの確立が必要である2).
本稿では,RAに対するリハビリテーションの流れとともに,在宅リハビリテーションの実際について述べることとする.
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