Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
当センターでは過去10年間にわたり,市内各区の福祉事務所と協力して障害者や高齢者を対象とした在宅リハビリテーション事業を行ってきた.この事業の主な目的は,保健所や福祉事務所が行う一般行政サービスをバックアップし,リハビリテーションの立場から対象者とその家族にとって最も適した生活スタイルの再構築を援助することである.
われわれの行っている在宅サービスの具体的な流れを図に示す(図1,2).市内各区の福祉事務所は,在宅生活を余儀なくされている重度の障害者や高齢者を対象に訪問指導事業を施行しており,彼らに在宅リハビリテーションに対するニーズがあると,当センターに専門職の派遣を依頼する.当センターはその依頼を受け,リハビリテーション医や理学療法士,作業療法士,ケースワーカーなどから成るチームによる家庭訪問を行い,対象者の身体機能や精神機能,家族機能,生活様式,住環境などを評価する.その後,福祉事務所との間で評価会議を行い,リハビリテーション・プランを立案する.プランの内容は,例えばADL改善のための訓練,介助量軽減のための福祉用具の利用や介助指導,トイレでの排泄を可能にするための住宅改造や動作指導,というようなもので,これらを実施するためにリハビリテーション専門職の派遣を行っている.
われわれの過去のデータ1)によれば,本サービスによって指導したADL項目の達成率は83%と高率であり,本サービスは有効に機能しているものと考えられる.しかし,専門職によるリハビリテーション・サービス終了時に初期プランの目標が達成されなかったり,達成された内容がフォローアップ時に継続されていなかったりすることも時にみられる.
今回われわれは,この在宅リハビリテーション・プランの達成―すなわち,サービス終了時に目標を達成し,フォローアップ時までそれが継続されること―に関わる因子を見つけだすための予備的研究として,これまで行ってきた在宅リハビリテーション事業の後方視的調査を行ったので報告する.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.