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編集後記
上田 敏
pp.994
発行日 1981年12月10日
Published Date 1981/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104669
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国際障害者年の特集をお贈りする.国際障害者年に対する評価は人それぞれにさまざまであろう.お祭りさわぎに過ぎず,実質的な進歩は何ひとつなかったという否定論者から障害者問題の解決に向かっての決定的な一歩が踏み出されたとみる人まで,多くの人がそれぞれの感想をいただきながら,この12月9日の「障害者の日」(今年政府が正式に制定した,1975年の国連の「障害者の権利宣言」決議の日)を迎え,年末を迎えるわけである.眼前にあるものの正確な評価は何事によらず難かしく,ある程度の距離をおかなければ本当の姿は見えないものであるが,国際障害者年もこれから5年10年をへだてて見た時にはおそらく歴史の一つの転換点であったことが明瞭になるのではあるまいか.
板山氏は政府側の障害者年行事の実質的な責任者の立場から大活躍をされたが,その感想の一端を巻頭言に書いていただいた.砂原氏は障害者問題とリハビリテーションの理念と視点を格調高く論じて下さった.松友氏は日本推進協議会の活動を詳しく報じていただいた.この協議会は100以上の民間団体を糾合した画期的な連合組織であり,これができただけでも国際障害者年の意味はあったといわれているものである.丸山氏には国際障害者年をめぐっての世界の動きを多角的に紹介していただいた.上田は障害者年を契機としてリハビリテーション医学に与えられた課題について考えてみた.
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