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編集後記
上田 敏
pp.790
発行日 1982年8月10日
Published Date 1982/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104808
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涼しいカラ梅雨の7月はじめにこの後記を書いているが,本号が出る頃は夏の盛りであろう.昨年の国際障害者年をふりかえる特集をお送りする.
現金なもので,今年になったとたん,新聞・テレビなどでの障害者問題のとりあげ方は昨年にくらべて激減した.障害者団体や専門家団体(リハ医学を含む)で結成された国際障害者年日本推進協議会は少なくとも10年にわたる長期行動計画を策定し,粘り強く運動を進めて行く意気込みであるが,その前途は決して楽観できない.また「国際」障害者年でありながら国内の問題だけにかまけて視野狭窄におちいっていなかったかとの反省も必要である.この点について国際的動向を小島氏に,長期行動計画を中心としたわが国の動向を飯田氏という,いずれも中心的な人物に展望していただいた.また身体障害者にくらべ,ともすれば軽視されがちな精神薄弱者と,障害者としてすら認められていない難病患者にとって障害者年とは何であったのかをそれぞれ皆川氏と佐藤氏にまとめていただいた.「障害の概念と範囲の拡大」が必要とされ,リハビリテーションの対象と概念の拡大も要請されている現在,ぜひ一読をおすすめしたい.調氏の「重度障害者の雇用と所得保障はどう進んだか」も重要な問題提起を含んでいる.
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