--------------------
編集後記
上田 敏
pp.616
発行日 1978年8月10日
Published Date 1978/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104032
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
バーゼルでひらかれた国際リハビリテーション医学協会(IRMA)第3回大会に出席した.今回の国際学会は参加者も多く,多数の分科会場でもきわめて多彩なブログラムが組まれ,朝早くからの研修会が毎日あったりして,非常に充実していた.日本人の参加者も50人前後はあったようで,演題発表も10数題に及んだ.数だけでなく内容的にも他国の発表に比して決して遜色のないものが多かったが,シンポジウムやパネルにとりあげられたものがないなど,欧米諸国の発表にくらベハンディをつけられていたことは否めない.しかし,学問の国際化時代を迎えて,日本のリハビリテーション界も国際舞台への進出をもっと真剣に考えなければならないし,また世界の学界も次第に日本に注日を寄せつつあることを強く感じさせられた.
さて8月号は「施設におけるリハビリテーション」の特集である.今田氏は各種社会福祉施設の歴史的背景,最近の動向などを批判的に検討しつつ,施設の体系とその中でのリハビリテーションの位置づけについて詳しい資料をもとに論じられた.古川氏は東京都のハーフウェイハウスの経験を中心に中間施設におけるリハビリテーションについて述べ,山口・上田は,全国のアンケート調査を通してみた老人ホームでのリハビリテーションの実態を報告した.安藤・堂本氏らは療護施設におけるリハビリテーションを実際経験を通して論じられた.最後に座談会では小池,山形,高橋,江口,大川の各氏から肢体不自由児施設の現状と今後の課題についてつっ込んだ議論がいただけた.曲り角にあるといわれる肢体不自由施設について考える上での指針となれば幸いである.
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.