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今回の特集はリハビリテーション関連職種の教育,養成に関するものである.自然科学的な考え方で1つの疾患を取り上げてそれを多方面から種々と考察を加え研究することからは疾患単位の特集の方がまとまりがよく,しかも面白く読める.この特集はそのようなまとまりのみを取り上げるならば,はなはだバラバラであり,読む人によっては面白くないかも知れない.ところが私自身がこの特集を読み終って感じた事はとても多くの事を勉強した,ということだった.話題の中でやはり多く取り上げられているのはPTとOTの教育であり,池田氏にしろ下河辺氏にしろ各々の立場で苦労が多い様である.私も実はこれらの養成校の1つに深く関係してしまったが,問題の多い点では他の学校にまけないだろう.ST,MSW,PT,OT,看護婦,といふううにとり上げてみると,リハのチームの一員という見方だけでこれらの職種の人達を眺めてはならない事がよくわかる.それぞれお家の事情があり,リハビリテーション医療のチームの一員であることは単に1つの側面である……と言えば言い過ぎだろうか.さて11号の中でアカデミックなものとして土肥氏の空気クッションソケットを持つ下腿義足に関する論文と梶浦氏の講座をとり上げるならば,前者はいわゆる研究論文形態を持つもので義足に興味を持つ方は空気クッションソケットに対して何等かの御意見を持たれた事だろうと思う.後者は講座であり教育的である.脳性麻痺の超早期治療の必要性が呼ばれている折から,貴重でもある.リハ医学会に出席していて感じる事は,あるものは大変教育的であり,あるものは大変に学問的であることである.comprehensiveという事が安易にとり上げられるならば進歩はないだろうが,まじめにとり上げられるときは学問の進歩の原動力になることを信じて疑わない.その意味でも梶浦氏の講座は本号をかざるものである.
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