- 有料閲覧
- 文献概要
CPは,コーディネーションの障害であるとBobath夫妻は説いている.器質的,二次的な感覚統合障害があり,知覚やBodyimage,左右認知,知能,情緒,社会性の発達の遅れや未熟,歪み等々の問題要素もあわせ持っていることが多い.そのために,自助具そのものの操作が困難で,実用化できないことが多い.また,CPは非進行性であると定義づけられていてそのとおりであるが,決して症状は固定するものではない.自助具の効用もその状態に応じて変化する.CPの用便を考える時には,便器そのものだけではなく,移動能力,更衣の問題の工夫も同時に為されなければならない.生理の始末は最も困難な動作であり,生理帯やパットの工夫がもうひと工夫必要になるが省略する.ここでは紙面の都合上,主に便器の工夫(オリジナル)に焦点を当てたい.家庭用の和式便器を洋式便器に替え,手摺を両側にとりつけただけで自立した青年もあったが,便器椅子や手摺の工夫は,各施設でとり入れられ,家庭でも広く使われているので省略する.
①簡易便坐及びオマルの工夫
CPは,後弓反張や脊柱の前彎,後彎があって異常高緊張,低緊張があり,あるいは不随意運動のために姿勢が定まらないということが大きな問題でもある.乳児膀胱や痙性膀胱,腹圧のコントロ ールの悪さにも特徴がある.良姿勢(脊柱伸展,やや前傾位)をとらせて,良緊張状態にして膀胱を空にすること,あるいは大便時に“力み”を容易にさせてやる必要がある.市販の簡易便坐,オマルは手摺がなくバランスの悪いCP には不向きで使えない.一般家庭(和風)で抱き上げてトイレに連れて行き,狭い所でトイレや更衣の介助をすることは容易ではない.それを軽減する目的で図1を紹介したい.介助者は後方からスロープを滑らせるように腰部を引いて坐らせる.その後,取外し自在の手摺板を前方に図のようにはめこむ.図2は簡易便坐を掘炉燵式に埋込んだ例である.割坐,あぐら坐位で可能だが,長坐位の時は後方に高さ10cm程度の簡易腰掛を置くとよい.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.