連載 難しい症例のみかた・第2回
Platypnea orthodeoxia syndromeを呈した重症肺炎患者
宮崎 慎二郎
1
Shinjiro MIYAZAKI
1
1KKR高松病院リハビリテーションセンター
pp.981-983
発行日 2023年8月15日
Published Date 2023/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551203160
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Platypnea orthodeoxia syndrome(POS)は,臥位で緩和され,直立位で悪化する低酸素血症や呼吸困難を特徴とするまれな症候群であり,臥位から直立位での動脈血酸素分圧(arterial oxygen partial pressure:PaO2)>4mmHgまたは,動脈血酸素飽和度(arterial oxygen saturation:SaO2)>5%の低下と定義されている1).心房中隔欠損など左右の心房間シャントで生じる場合が多く,肺実質疾患によるPOSの報告は3.7%ときわめて少ない1).
重症肺炎や間質性肺炎などに合併するPOSは,重力の影響による換気血流比不均等2)や,低酸素血症に対する肺血管収縮の無反応が原因と考えられている3).POSでは,座位や直立位で低酸素血症や呼吸困難を招くため,離床の妨げとなる可能性がある4).今回は,重症肺炎によりPOSを呈し,長期間座位や立位が制限された症例への理学療法について解説する.
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