Close-up 「足」を理解する
「足」の機能の巧妙さ—裸足と履物・路面・スピードへの対応
伊佐地 弘基
1
Hiromoto ISAJI
1
1i-soul works
1i-soul works
キーワード:
身体機能
,
足部機能
,
靴
,
インソール
Keyword:
身体機能
,
足部機能
,
靴
,
インソール
pp.685-688
発行日 2021年6月15日
Published Date 2021/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202342
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足と姿勢制御
2足直立歩行を営むヒトにとっての足(足底)は,地面である外的環境情報を収集し,その情報を中枢神経系に求心性に送ることで安定かつ安全に姿勢制御を行うための機能を担っている.足は,体性感覚である表在感覚と深部感覚に関与する感覚受容器によって,地面の材質,硬度,形状などの情報を収集すると同時に,身体の位置や動き,荷重負荷や加速度によって変化する力学的な応力との関係を全身機能とともに調整している.よって,足(足底)からの正常な感覚入力が行われないと多関節に関与する姿勢制御機能が破綻することとなり,身体各部に過度な力学的ストレス集中を生み,組織損傷を引き起こすこととなる.
また,足は解剖学的にも多くの骨と関節によって構成されるため,足部アライメントは関節覚などの深部感覚と密接な関係性があると考えている.足部の外在筋および内在筋も多く存在することから,筋紡錘からの深部感覚情報も重要であり,関節構造の安定性とも関与していることが予測できる.いわゆる関節構造の崩れは,荷重下での活動時の不安定性を助長し,多関節性に関節運動の円滑性を阻害することで,運動効率を低下させることにつながる.同時に,非効率的な運動を強要されることで,筋活動の不均衡や過度な筋緊張および弛緩,関節構成体への過度な圧縮や剪断ストレスの増悪が引き起こされる.このような身体機能のもとで,不整地や悪環境での活動,身体機能に適していない靴などのツールを使用することは多くの外的および内的ストレスを生み,身体各部位に障害をもたらすことにつながる.
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