Japanese
English
症例報告
血友病A患者に対しTKA周術期理学療法を行った一例
The physical therapy perioperative total knee arthroplasty in hemophilia A:a case report
髙田 ゆみ子
1
,
塚本 利昭
1
,
玉井 佳子
2
,
津田 英一
3
Yumiko Takada
1
1弘前大学医学部附属病院リハビリテーション部
2弘前大学医学部附属病院輸血部
3弘前大学大学院医学研究科リハビリテーション医学講座
キーワード:
血友病A
,
TKA
,
理学療法
Keyword:
血友病A
,
TKA
,
理学療法
pp.776-781
発行日 2018年8月15日
Published Date 2018/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201289
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要旨 【目的】血友病性膝関節症に対し人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty:TKA)を施行された症例に対する理学療法について報告する.【症例】66歳,男性,診断名は左血友病性膝関節症,中等症血友病Aである.周術期の止血管理として術前より血液凝固第Ⅷ因子製剤が投与された.術前のrange of motion-test(ROM-T)は,右膝関節伸展−10°,左膝関節伸展−15°・屈曲125°,両股関節伸展−15°と制限を認め,徒手筋力テスト(manual muscle testing:MMT)では下肢筋力は左膝関節屈曲[3],両股関節伸展・外転[2]〜[3]と著明な低下を認めた.歩容は,松葉杖と右下肢に頼る逃避性歩行となっていた.術前,日本整形外科学会OA膝治療成績判定基準(Japan Orthopaedic Association Score:JOAスコア)は左50点であった.術後理学療法は,術翌日より当院のTKA術後のプロトコールに沿って実施した.術後23日目に片松葉杖歩行にて自宅退院,術後45日目の時点で術前と同程度の膝関節機能となり,主訴である左膝関節痛は消失し,歩行距離の延長とADLの改善が得られた.【考察】周術期の適切な止血管理と術後早期からの多関節運動連鎖を考慮した理学療法により,当院のTKA術後プロトコールに沿って理学療法を実施することが可能であった.さらに,術後の膝関節機能やADLの改善は術前の膝関節機能や隣接関節の影響を受けると考えられた.
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