特集 疼痛管理
疼痛管理のための認知行動療法
長澤 康弘
1
,
柴田 愛
2
,
岡 浩一朗
3
Yasuhiro Nagasawa
1
1長谷川病院リハビリテーション部
2筑波大学体育系
3早稲田大学スポーツ科学学術院
キーワード:
痛み対処スキルトレーニング
,
マインドフルネス
,
アクセプタンス&コミットメント・セラピー
Keyword:
痛み対処スキルトレーニング
,
マインドフルネス
,
アクセプタンス&コミットメント・セラピー
pp.637-645
発行日 2018年7月15日
Published Date 2018/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201246
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はじめに
認知行動療法は,「個人の行動と認知(対処可能性,信念,考え方,構えなど)に焦点を当て,そこに含まれる行動,認知,感情,身体,そして動機づけの問題を合理的に解決するために構造化された治療法」とされている1).疼痛管理を目的とする場合には,対象者が疼痛刺激をどのように理解し,そこで何を考え,どのように振る舞っていくのかを問題として解決していく.米国では,理学療法士の約8割が運動器の疼痛管理のために認知行動療法の技法を活用しており2),理学療法士による介入成果が報告されている3,4).わが国においても運動器の慢性疼痛を中心に認知行動療法の普及が進みつつあり,その効果の解明が行われているが5),現状では諸外国と比較するとエビデンスは不足している6).
本稿では,高齢者の運動器疼痛に対して認知行動療法を適応した先行研究の知見および具体的な技法について概説するとともに,わが国の膝痛高齢者を対象に認知行動療法(痛み対処スキルトレーニング)を適応した実際の取り組みについて紹介する.さらに,近年の疼痛管理において注目されているアクセプタンス&コミットメント・セラピーやマインドフルネスといった第三世代の認知行動療法についても解説する.
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