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編集後記
山田 英司
pp.382
発行日 2018年4月15日
Published Date 2018/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201181
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本特集では「変形性膝関節症に対する最新の保存療法」というテーマで,ここ数十年大きな変化のなかった保存療法の転換のきっかけとなることを期待して,変形性膝関節症の理学療法に取り組んでおられる先生方に最新の知見を述べていただきました.
木藤伸宏先生は,本邦における変形性膝関節症に対する理学療法の第一人者であり,保存療法における歴史的な変遷と最新のエビデンスを述べていただきました.現時点でわかっていること,わかっていないことを明確に提示していただき,今後の課題が明らかとなったと思われます.工藤慎太郎先生は近年,超音波検査装置を用いて運動器疾患の形態学的,運動学的評価を行われており,今回症例を提示していただき,変形性膝関節症の保存療法における超音波検査の有用性について述べていただきました.德田一貫先生には,保存療法のなかでも重要とされてきた筋力に焦点を当てていただきました.特にこれまで,大腿四頭筋や股関節外転筋に着目されてきましたが,その理論的な背景と限界についても述べていただきました.島田昇先生には,重要であるにもかかわらず,これまで明らかにされてこなかった膝関節の回旋運動に特化して,運動学・運動力学的特徴,評価,治療までを最新の研究をもとに述べていただきました.膝関節の回旋動態やその異常は保存療法では重要であり,臨床に応用できる知見を多く含んでいると思われます.平川善之先生には,変形性膝関節症の疼痛に関連する要因を6つに分類し,その病態や最新のエビデンスについて述べていただきました.この視点は今後,保存療法の主となる部分であると考えられ,着目されていく分野であると考えています.
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