Japanese
English
症例報告
浅指屈筋腱弓における正中神経障害が疑われた手指の運動時痛を呈した症例の理学療法経験
A experience of the case who causes finger motion pain due to median nerve disorder in the tendinous arch of the flexor digitorum superficialis muscle.
猪田 茂生
1
,
林 典雄
2
,
佐藤 昌良
3
Shigeki Ida
1
1伊賀市立上野総合市民病院リハビリテーション課
2中部学院大学リハビリテーション学部理学療法学科
3伊賀市立上野総合市民病院整形外科
キーワード:
回内筋症候群
,
運動療法
,
浅指屈筋
,
ストレッチング
Keyword:
回内筋症候群
,
運動療法
,
浅指屈筋
,
ストレッチング
pp.457-461
発行日 2013年5月15日
Published Date 2013/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106296
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要旨:浅指屈筋腱弓における正中神経障害の発生頻度は低いとされており,運動療法の効果を示した報告は見当たらない.今回,上腕骨近位端骨折に対する三角巾固定除去後に,安静時の手指のしびれと把持動作によって出現する耐え難い手指の運動時痛を強く訴えた症例を経験した.理学所見を主体とした評価の結果,浅指屈筋腱弓における正中神経障害が強く疑われ,その原因として,持続的な筋攣縮,外傷後の浮腫の存在,関節運動の欠如に伴う一過性の拘縮が考えられた.周辺組織を弛緩させ,解剖学に沿った神経の伸張と弛緩の反復によって癒着を剝離することにより,症状の軽減が得られると考えた.浅指屈筋のリラクゼーションとストレッチング,正中神経の滑走運動を実施した結果,症状の改善が得られた.解剖学的構造上,筋の攣縮が神経絞扼に関与することが予想される場合,理学所見を中心とした的確な機能評価とともに,適切な運動療法の実施が症状改善に有効と考えられた.
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