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AIDSの近況
曽田 研二
1
1横浜市立大学医学部公衆衛生学教室
pp.628
発行日 1994年9月15日
Published Date 1994/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104088
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我が国では1991年ころからHIV感染者の報告数が急増し,感染爆発前夜かとの危惧が広まった.我が国のエイズは外国の流行の影響を強く受けているが,最近の世界の流行はどのような状況であろうか.
AIDSは米国で1981年に初めて報告されて以来,世界各地で年々著しい増加を続け,1993年6月末日現在,世界保健機関(WHO)に184か国から累計718,894人のAIDS患者が報告されている.世界五大州別内訳は,南北アメリカが51.6%,アフリカ34.4%,ヨーロッパ12.9%,オセアニア0.6%,アジア0.5%である.しかし,発展途上国における診断・サーベイランス体制の不備などを考慮すると,この報告数は著しく過少と考えられるため,実際の世界のAIDS患者発生数累計は約250万人以上,その70%はアフリカが占めると推定されている.アジアでは流行が遅れて始まったため,AIDS患者の報告数は少ないが,1990年代に入ってから増加が目立っている.また,成人のHIV感染者の地域別累積数は,サハラ以南アフリカが800万人以上,北アメリカ100万人以上,ラテンアメリカ・カリブ海地域150万人,南および東南アジア150万人以上,西ヨーロッパ50万人,北アフリカ・中東7.5万人以上,東ヨーロッパ・中央アジア5万人,東アジア・太平洋地域2.5万人以上,オーストラリア・ニュージーランド2.5万人以上,総計1300万人以上と推計されている.
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