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編集後記
吉尾 雅春
pp.660
発行日 1991年9月15日
Published Date 1991/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103356
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昨年の本誌4号のとびらで私は「生活」と題して,独裁国家から民主国家へと変わり,市場経済主義を取り入れていくことになった東欧諸国に対して,日本のような恥ずべき国にだけはならないようにと書いた.今は,独裁国家の御本家ソ連でクーデターが失敗し,謀らずも民主国家への足音が一段と大きく聞こえるようになった.ちょうどそのころ日本ではバブルが完全にはじけてしまって,出るわ出るわ,不正融資だけでも1兆円を超すような勢い.あまりもの桁の違いに,私たちの感覚では現実的な問題とは認識できないくらいである.そのようなニュースの片隅に老人保健法の改正案の衆議院通過の話があった.若い世代の負担を1180億円減らすために患者負担をふやすことが柱の一つであったが,結局,今年度と来年度の若い世代の負担減は590億円にとどまった.ある不正融資の1兆円があるならば,と思うとまた頭に血が上ぼる.
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