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編集後記
高橋 正明
pp.654
発行日 2005年7月15日
Published Date 2005/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102512
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参考になるかと過去に書いた編集後記を探していたら,たまたま1998年6月付けの一文が目にとまった.書き出しはフランスでサッカーワールドカップが始まったことである.日本のサッカーが初めて世界の檜舞台に立った大会で,国全体が期待と興奮で沸き返っていた.ハッと思い2002年付けの編集後記を探したら,予想通り日韓共催のワールドカップまっただ中に書いたのがあった.日韓ともにワールドカップ一色で,対ロシア戦だったか,テレビ視聴率が60%以上に跳ね上がったと記憶しているが,どちらの時も,日本を覆う慢性的不景気を吹き飛ばして欲しいという庶民の強い願いが込められた興奮である,というようなことを書いた.そして今回,バンコクでの無観客試合に勝ち,世界に先駆けて明年のドイツ本戦行きを決定した興奮の中でこれを書いている.長かった不景気もようやく堅調な回復が感じられるようになり,社会全体の行け行けどんどんに後押しされて,来年は予想以上に勝ち進むようなそんな予感がする.
ドーハの悲劇,ジョホーバルの歓喜,日韓共催,そして無観客試合.これからも機会あるごとに放映されて記憶が強化されることは間違いない.時を経て,この歴史とダブって思い出されるのが日本の社会的基盤をドラスティックに変革した公的介護保険の誕生であろう.両者はそれほどまでに時期が重なっているのである.
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