講座 臨床検査データの理解と活用法・3
加齢に伴う臨床検査値の変化―生理機能検査からみた高齢者の特徴
椎名 一紀
1
,
山科 章
1
Kazuki Shiina
1
1東京医科大学第2内科
pp.257-265
発行日 2012年3月15日
Published Date 2012/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102229
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はじめに
30歳代をピークとして,加齢による各種臓器機能の低下が進行する(図1)1).老化の過程は複雑で,その進行の程度は臓器により一律ではなく,また,個人差も大きい.一般的に体細胞の総数は加齢とともに減少し,残存細胞は構造的な相同性が失われ,有機的な機能が低下する.このように,加齢は形態と生理的機能の変化をもたらし,その結果,ある閾値を越えたときにその器官系の破綻を生じる現象と考えられる.これら臓器機能の低下は,一般的には高齢者の日常生活に支障を来すほどではないが,労作時などのストレス下において予備能力の低下として現れるため,運動療法を行ううえではその理解が重要である.
本稿では加齢に伴う各種生理機能の変化に加え,日常生活や運動療法を行ううえで注意すべき点,配慮すべき点などについて概説する.
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