臨床実習サブノート スーパーバイザーの視点・論点―患者さんに触れるまで・8
肩関節障害
牛山 直子
1
Naoko Ushiyama
1
1富士見高原病院理学療法科
pp.975-981
発行日 2011年11月15日
Published Date 2011/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102123
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
ステップ1.肩関節障害を診るうえでの理学療法士の役割と心構え
肩関節障害を起こす疾患には様々な疾患があり,患者の病態や時期も様々である.受傷機転が外傷性か非外傷性か,時期が急性期か慢性期か,治療が観血的療法か保存的療法かなどにより患者を診るうえでの注意点は違ってくる.一般の病院で多くみられる肩疾患は,肩関節周囲炎と上腕骨外科頸骨折であると思われる.病院によっては肩腱板断裂や反復性肩関節脱臼の術後やスポーツ外傷などの疾患を診ることもあるかもしれない.本稿では,頻度の多い肩関節周囲炎からの肩関節拘縮を例に挙げ,情報収集や問診,評価において注意すべき点を説明していく.
肩関節周囲炎は多様な病態(表1)1)と病期(表2)2)をもつため,病態や病期に適した理学療法を実施することが求められる.肩関節周囲炎では明らかな誘因なしに痛みや可動域制限などの機能障害を主訴に来院される患者が多い.肩関節は構造上の特徴から機能障害を起こしやすい関節であり,この機能障害により日常生活に大きな支障が起こる.理学療法士が適切に関わることで問題が改善することも多いが,病態を把握しないで治療を行えば状態を悪化させてしまうリスクがあることを忘れてはならない.このようなリスクを防ぐため,医師からの情報収集を十分行う必要がある.学生は準備として,機能解剖や機能運動学を学び,触診の技術も身につけておきたい.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.